アセアンサミットで露呈したアメリカとの距離間

10月31日からタイのバンコクで開かれていたアセアン首脳会議(アセアンサミット)が閉幕しました。今回のサミットで注目されたことの一つは、アメリカのトランプ大統領が参加しなかったことで「アメリカのアセアン軽視」の姿勢が印象付けられた、と各メディアが伝えています。

これまでは、アセアンサミットにあわせて大統領が参加できなかったとしても、副大統領や国務長官クラスが参加していたアメリカですが、今回派遣されたのは、まだ9月半ばに就任したばかりの大統領補佐官。このため、アセアン-米首脳会議にアセアン側からトップが参加したのは、開催国であるタイと来年の議長国ベトナム、そしてラオスの首相の3人のみで、他のアセアン諸国は外相が参加したということです。

アセアンは位置的にも中国に近く、貿易相手としても国別でみれば中国は輸出入ともにトップです。中国と国境を接するラオスやカンボジア(注:カンボジアの国境は中国とは接していません)は中国マネーが大量に流れ込んでいることもあり、南シナ海問題においても、中国批判の姿勢は他のアセアン諸国に比べれて控えめだと言われています。経済面での結びつきが強まり、中国依存の傾向がさらに強まれば、アセアン各国の中国への発言力は力をなくしてしまうことが懸念されているのです。

日本の安倍首相もアセアンサミットには参加していますが、日本では同地で韓国の文大統領の会談したことのほうが、ニュースでは大きく取り上げられていた印象があります。日本にとっては、今の韓国との関係がより身近な問題であるため、いた仕方のない印象は否めませんが、米中の関税合戦が世界に影響しているなか、アセアンとアメリカとの距離感ということについても、動向が注視されます。

アセアンの中国傾斜が強まれば、アセアンにおけるビジネス環境にも大きな影響があることは避けられないものとなるでしょう。

(記事担当:阿部)