後発国のかえる跳びの発展と先進国の進化を削ぐしがらみ

こんにちは。アセアン進出支援協会の阿部です。

12月7日の日本経済新聞に、「ネット処方薬 普及遠く」と題した記事が掲載されていました。

参照記事はこちら(一部有料会員制です)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53041030W9A201C1SHA000/

ネット処方薬はインターネットで服薬指導を受けた患者さんが自宅から購入できるという制度で、日本ではまだ試験的に一部の特区のみで利用が認められています。

 

医師がTV電話等を介して診察を行う「オンライン診療」についても、2018年から診療報酬で保険請求が認められたばかりですが、

・初めての診察から6カ月以上を経過した患者さんを対象とすること

・この間月1回の対面診療を行っていること

・緊急時に概ね30分以内に診察可能な体制である場合

などといった規制が多く、医療界で注目されているはいるものの、まだ制度制定から2年足らずということもあり、浸透しているとは言い難い状況にあります。

 

こうした制度は、働き盛りの人やネットの利用が当たり前の世代の人たちにばかりに恩恵をもたらすものではありません。日本は国土の周囲を海で囲まれた、いわゆる島嶼国(とうしょこく)で、海岸線の長さが100m以上ある島をカウントするとその数は6,852にも及びます。このうち、人が住んでいる島は約400といわれていますが、こうした遠隔地に暮らす人たちにこそ、ネット処方やオンライン診療の恩恵があるのだと理解しています。

 

11月27日、東京港区にある日本アセアンセンターで行われた「ASEAN貿易フォーラム ~ASEANにおけるヘルスケアサービスの現状と投資機会~」を傍聴していました。フォーラムには、ブルネイを除く9カ国から政府関係者等が参加し、自国の医療事情や投資に関する情報提供を目的に行われたのですが、このなかで日本と同じ島嶼国である、インドネシアの取り組みに丁度これににた話題がありました。

 

インドネシアは人口2.55億人(2015年 インドネシア政府統計)以上を誇るアセアンの大国です。国土は日本の約5倍あり、日本と同じ島嶼国で首都ジャカルタがあるジャワ島やボルネオ島、そして観光地として名高いバリ島など様々ありますが、その数は1万4千以上といわれています。こうした環境のなか、インドネシアの病院数は2,864、診療所が8,841、保健所が9,993など整備されていますが、病院は首都があるジャワ島をはじめとした西部に多く、東部地域にはまだ十分な医療機関が整っていないといわれています。こうしたなか、インドネシアでは国が支援して遠隔医療の設備整備を進めているとのことでした。実はこうした取り組みは、インドネシアだけではなく、ASEANの多くの国で取り組まれている事実があり、今後この分野で成長が期待されているのがアジアを中心とした新興国だともいわれています。

 

 

 

 

一方、日本では先に述べたように対面診療の原則や緊急時対応の要件、また薬剤の配送時や副作用の管理をはじめとした安全面への課題を前に、まだ手探りの状況が続いています。冒頭に紹介したネット処方薬の利用者は、特区内でもわずか16人にとどまっており、登録した薬局数29店より少なかったとニュースは伝えていますが、近い将来、まずアジアで整えられた手法が日本へ逆輸入される日も遠くないように思います。