ミャンマーがアウンサン将軍の肖像を用いた新紙幣を発行へ

1月7日の日本経済新聞が、「スー・チー氏、総選挙へ「父の威」新紙幣や映画で」と題した記事を掲載しています。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54116350X00C20A1910M00/?from=rnikkei

ミャンマーでは、今年1月8日から、ミャンマー建国の父として国民に慕われている「アウンサン将軍」の肖像画を用いた1000チャット(1チャット=0.0749円「2020年1月11日現在」)紙幣が、現地の銀行窓口でも交換できるようになるほか、昨年9月からは政府が一部関与する形で、アウンサン将軍の人生を描いた映画にも着手していることを伝えています。

アウンサン将軍は第2次世界大戦後のミャンマー独立の指導者として活躍した人物で、1947年に暗殺されてしまうものの、ミャンマー建国の父として、国民から今も多くの尊敬を集めている人物です。ちなみに、ミャンマーは当時イギリスの統治下にありましたが、日本は連合軍の補給ルートを断つために、当時ビルマルートと呼ばれていた中国の昆明とミャンマーの国境を結ぶ道路の閉鎖を計画。ミャンマーの独立運動支援を口実に、反英運動を展開していたミャンマーの民族運動家に接触。ミャンマー義勇軍の誕生を経て、ミャンマー防衛軍が組成されましたが、この時司令官に任命されたのがアウンサン将軍でした。

しかし1947年アウンサン将軍は暗殺され、ミャンマーの独立後の政権を担った軍事政権がつい最近まで、ミャンマー政治の中枢であったことは承知の通りです。

2015年、悲願ともいえる政権交代を果たしたはずの国民統一党(NLD)ですが、「ロヒンギャ問題」に端を発した少数民族の迫害問題は、国連の司法裁判所にスーチー氏が出廷する事態にまで発展しています。

なぜ今、紙幣の発行やアウンサン将軍の映画に国家が取り組むのか。それは、2020年11月に予定されていることと無関係でないことは明白です。依然、国内での人気は圧倒的に高いスーチー氏ですが、ミャンマーには多数の少数民族がおり、この少数民族の人々の間で、「NLD離れ」が進んでいるともいわれています。

今回の新紙幣の発行、そしてアウンサン将軍の映画の公開により、国民感情を高めたい意図がどこまで奏功するか。2020年の11月は世界が注目するアメリカ大統領選挙もありますが、ミャンマーの総選挙も注目されます。

(記事担当:阿部)