中国抜きでは語れないアセアン

1月21日の日本経済新聞が、中国の外交戦略と東南アジアに関する記事を掲載しています。

参照記事はこちら

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54606370Q0A120C2FF1000/

1月17日、中国の習近平国家主席は19年ぶりにミャンマーを訪れ、ミャンマーのアウンサンスーチー氏と会談を行い、「中国-ミャンマー経済回廊」の建設を進める方針で一致したことが発表されました。中国とアセアンの関係は、南シナ海を巡る問題が長年協議されていますが、中国はまず、南シナ海に直接面していないミャンマーとカンボジア、そして海なし国のラオスと経済活動を介して親密な関係を築くことで、アセアンと中国間における議論を有利に進めようとしている構造が透けて見えることを記事は伝えています。

ミャンマーは過去の軍事政権時代、欧米諸国から経済制裁を受けたことから隣国の中国と親密な関係を築いてきた歴史がありました。ミャンマー国内で民主化運動をすすめ、2015年に政権を奪取したスーチー氏ですが、イスラム系少数民族ロヒンギャ問題の取組みにおいて、皮肉にも欧米諸国から再度厳しい対応が求められるなかで、中国との関係にシフトせざるを得ないのは皮肉としか言いようがありません。

アセアンにおける中国の影響力は、2000年以降顕著にその存在感を増してきました。アセアンと中国間では、2005年にアセアン中国自由貿易協定(ACFTA)が結ばれ手続きが簡素化されたことを受けて貿易は活性化し、2018年の中国におけるアセアンとの貿易額は、2008年と比べて2.5倍の5,774億ドルに達しています。このうちミャンマーの占める割合は決して多くはありませんが、ミャンマーのラカイン州にある港町チャオピューと中国の雲南省を繋ぐガスパイプラインの敷設など、中国の一帯一路構想の重要なインフラ整備に絡む取引が行われています。

ミャンマーの1人当たりGDPは1,299USドル(2018年)とアセアンでは最下位に甘んじているものの、中心都市であるヤンゴンの発展には勢いがあり、ヤンゴンでは1人当たりGDPが2,000ドルと超えるといわれています。法律も度々改正され、以前は日本から輸入された中古車が人気を得ていた時代もありましたが、市内の渋滞緩和と環境保護の一環から2018年に右ハンドルの輸入が禁止されたことをうけ、実質日本からの中古車の輸入はできなくなりました。

日本の中古車に乗っていることにステータスがあり、そのままの塗装で走っていた時代では、元来親日国といわれていたミャンマーの人々に日本を意識してもらう良い契機にもなっていた側面があったかもしれませんが、徐々に日本の存在感が薄くなってしまうことも懸念されます。

 

 

 

 

(2015年のヤンゴン市内の様子)

武漢市で発生した新型インフルエンザが世界から注目を集めるなか、1,000床規模の病院をわずか10日あまりで建設する計画を発表しすでに着工に入ったことは、見方を変えれば中国の力を表しているともいえますが、経済面以外でも中国がアセアンでどこまで影響を及ぼしていくのか、今後も動向から目が離せません。

(記事担当:阿部)