新型コロナウィルス対応にみるアセアンと中国の関係

こんにちは。アセアン進出支援協会の阿部です。

2020年。オリンピックイヤーに水を差すようなウィルスの感染拡大が予断を許さない状況が続いています。日本ではクルーズ船における感染者拡大の話題が注目を集めていますが、中国本土以外での感染者数は、シンガポールに次いで、日本とタイが並んで諸外国では多い数となっており、シンガポールは東南アジアのハブとして、また日本とタイは中国からの環境客の人気1、2位を集めてきた実績がまるで皮肉のようにも写ります。

 

日本経済新聞から出されているコロナウィルスの感染マップ( https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/)によると、日本を含めたアセアン各国の感染者数は、同社が掲載している2月7日のデータ公開時点では次のようになっています。

シンガポール 28人

日本     25人

タイ     25人

マレーシア  12人

ベトナム   10人

フィリピン    3人

 

フィリピンは感染者数自体は少ないものの、武漢から入国した中国人男性が死亡する事態も起きており、各国がコロナウィルス対策の強化に乗り出しているなか、今度はここまで中国よりともとれる発言に揺れたWHO(世界保健機構)事務局長に対して、辞任を要求する署名が世界で30万を超えたというニュースまででてきました。WHOの事務局長を務めるテドロス氏はエチオピアの出身で、同国は中国が推進する経済圏構想「一帯一路」において、巨額の投資を受けて「第二のベトナム」といわれるほど経済の急成長を遂げている両国の関係が、WHO事務局長という重要な職位にあるにも関わらず中国に配慮した発言をしているのではないか、と勘繰られるのも仕方のないことかもしれません。

アセアンでも、親中派とされるカンボジアで1人の感染者が確認されたというニュースもあるなか、フンセン首相は航空便や船便といった運行を停止したり、自国民をチャーター機等で帰国させるといった特別な対策をとらないことで、中国寄りの姿勢をより鮮明にしていることが報じられています。

 

新興国にとって、自国の経済発展に大きく寄与する中国の存在に配慮するのは当然のことともいえます。アセアンのなかには、シンガポールのように中国人の入国を拒否する姿勢を打ち出している国もありますが、これもアジアのハブとして機能することで経済発展を遂げてきた同国にとっての政策であり、感染の拡大により経済の流動性を止めることそのものが、自国経済に与える影響が大きいことを懸念してのものだと理解されます。

経済発展を阻害する要因には、今回のような未知のウィルスによる人やモノの移動の制限がもたらす経済の停滞、また環境問題を背景にした気候変動による自然災害といった、自国だけではコントロールできないものが無視できない世界になっています。経済発展を遂げていくためには、こうした問題から目を背けるわけにはいかず、だからこそ、以前取り上げた海洋プラスチック問題などにおいても、タイなどが迅速に対応するという姿勢を示したのだと理解できます。

 

持続可能な開発目標、SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)がいうところの「持続可能な開発」とは、「将来世代のニーズを損なわずに、現代世代のニーズを満たす開発」に取り組むことをいい、これを達成するためにはあらゆる国と分野で、対応すべき社会的な課題と長期的な視点にたった活動を行っていくことが求められます。

 

▽経済の発展と引換えに環境に負荷をかけた結果引き起こされている環境問題。

▽その環境問題が引き金になっている気候変動による自然災害。

▽人が自由に往来できるようになった恩恵と引換えに起こるウィルス感染の拡大。

 

しかし、こうした問題に直面しつつも私たちの生活をより豊かにしていくためには、自国の殻に閉じこもっているわけにもいきません。開かれた世界のなかで、どのように対応していくべきなのか。これはマクロ的課題であるものの、結局は私たち一人ひとりの行動に帰結する問題なのだと思っています。