ラオスは中国へ傾斜してしまうのか

こんにちは。アセアン進出支援協会の阿部です。
12月上旬、ラオスの首都ビエンチャンと中国の雲南省昆明市を結ぶ、
総距離約1,000kmに及ぶ高速鉄道が開通したことを、新聞各紙が報じました。

 

日本経済新聞の記事はこちら(全文を見るには日経電子版への会員登録が必要です)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS244KP0U1A121C2000000/?unlock=1

 

チケットは片道約33万キープ(キープはラオスの通貨)~約52万キープで、
低価格帯のチケット代でも、ラオスの月の最低賃金の30%ほどの価格になっているようです。
ルートの途中にはラオスの代表的な観光スポットのルアンパバーンも通っているようで、
中国からのインバウンド需要などが飛躍的に伸びることも期待されるところですネ。

 

▽ラオスを訪れたときの印象深い光景

過去フランス領だったラオスは、日本での知名度こそ低いかもしれませんが、
2013年にはヨーロッパの観光貿易評議会が発表した「世界のベスト観光地」に選出されるなど、
観光客は増加の傾向(2013年377万人ー2017年386万人)にありました。

2016年に私たちがラオスに訪れたときにも、
ヨーロッパから来たバックパッカーとおぼしき若者を多く見かけたことを憶えています。

また、このときのラオスへの視察の際には忘れらない光景もありました。

私たちアセアン進出支援協会は医療機関の経営支援をしているコンサルティング会社、
ホワイトボックス(株)の使命を背景としていることもあって
ビエンチャン市内の医療機関を見学してまわったのですが、
中国から提供された救急車がラオスの病院の多くに整備されていたことです。

 

 

 

 

セタティラート病院にて

 

▽増える中国からの投資

中国からラオスへの直接投資額は年々増加しています。
JETROが公開している世界貿易動向シリーズのデータによれば、
2018年は2,751
2019年は4,455
2020年は8,248
(単位は100万ドル)
となっており、18年からわずか2年で投資額は200%近く増加しています。

ただ同時にラオスの公的債務はGDPの72%に及び、
2020年の返済額は12億ドルに及んでいることが報じられています。

またこのなかで中国向けの公的債務は35%にも及ぶという指摘もあり、
公的債務の約半分を中国向けが占めていることが推定されています。

冒頭にあげたのは鉄道に関するニュースですが、
これ以外にも中国とビエンチャンを結ぶ440kmの高速道路の建設も中国の投資により進められています。

▽おわりに

国が発展し人々が豊かになるのはなによりですし歓迎すべきことだと理解していますが、
「債務の罠」ともいわれる、
債務国(借りた側)が債権国(貸した側)に対して政策や外交、
インフラ運営になんらの制限による拘束が受けることが懸念されます。

とくに南シナ海問題を巡っては常に対立している中国とアセアン。

中国の支援に多くを頼る国が、
中国への遠慮からアセアン全体の意見統一のバランスを欠いてしまい、
合意形成が阻害されてしまうようなことだけはないことは願いたいものです。